こんにちは。
元ワーママ公務員のきなこです。
公務員の…皆さん…私は…あなたの脳内に…呼びかけてます…公務員の給料は…8月に出る…人事院勧告で…民間に合わせて…下がるでしょう…ボーナスも…支給月数が…減ります…月給減額は…4月1日に…遡ります…公務員の…給料は…下がらないという…のは…誤りです…誹謗中傷に…負けないでください…
— きなこ@元公務員ママブロガー (@Kinaco_mom) April 19, 2020
きなこのTwitterでプチバズが起きました。
(大拡散に慌てふためき、大混乱。。)
頂いたリプやご指摘から上記のツイート、説明不足の内容や情報に不正確な点があったため、改めてまとめ直してみました。
きなこは公務員を3回辞めた元公務員です。
人事系の担当をしたこともあります。
目次
公務員の給料は人事院が査定
国家公務員の給料は、人事院が民間の賃金動向を調査し、決定します。
調査は地域別に、産業、規模等によって、層化無作為抽出で行われます。
その対象となっている民間企業は企業規模50人以上で、かつ事業所規模50人以上の民間事業所です。
企業規模50人以上の民間事業所は全体の65%を超えています。
もっと正確に言うと、まず、人事院は民間の賃金動向に合わせた国家公務員の給与水準を国会及び内閣に「勧告」します。
この勧告を「人事院勧告」といいます。
内閣は勧告の内容を参考にして、給与に関する「法律改正案」を作成し、国会に提出します。
国会で可決すれば、成立します。
(情勢適応の原則)第二十八条 2 人事院は、毎年、少くとも一回、俸給表が適当であるかどうかについて国会及び内閣に同時に報告しなければならない。給与を決定する諸条件の変化により、俸給表に定める給与を百分の五以上増減する必要が生じたと認められるときは、人事院は、その報告にあわせて、国会及び内閣に適当な勧告をしなければならない。国家公務員法第28条第2項
人事院の勧告はあくまで「勧告」です。
人事院の勧告通りに内閣や国会が法律を改正する義務はありません。
しかし、ほとんどの場合は勧告通りに法案が改正されてきました。
地方公務員の場合は、各自治体に人事委員会が設置されている場合、人事委員会が勧告を行います。
その勧告を元に首長が給与条例改正案を作成し、議会に提出します。
人事委員会がない自治体は、人事院と各都道府県の勧告を参考にします。
どちらの場合にしても、「人事院勧告」を参考にするので、実質的には人事院勧告の内容が実現されていくという流れです。
人事院勧告は例年8月上旬にに出される
人事院勧告は、例年8月上旬に出されます。
月例給とボーナスの年間支給月数について述べられますが、扶養手当などにも改定案が述べられた年もありました。
民間の給与は景気の動向を受けて、上がり下がりしますので、不景気の時は当然公務員の給料も下がります。
なお、過去、人事院の勧告通りに改正が実施されなかったのは「給与引き上げ勧告」になります。
(ほとんどの例で勧告に従っているのは前に述べた通りです。)
給与引き下げ勧告が実施されなかった年はありません。
コロナのような不景気で公務員の給与は下がる?
結論から言うと、下がるということになります。
過去の実例を見てみましょう。
2011年東日本大震災の直後が、コロナで日本中が苦しんでいる状況に一番近いと思うので、この勧告を参考に見てみましょう。
なお、2011年の勧告は9月に行われています。
これは、東日本大震災により、民間給与実態調査の実施が遅れたためでした。
2020年3月31日に、人事院は民間企業の給与実態調査開始を5月から6月上旬に延期する方針を固めた、と報道されています。
ですので、2020年の勧告も遅れる可能性があります。
2011年の人事院勧告の概要は人事院の報告を参考にポイントをまとめました。
1.月例給
平均年間給与は△1.5万円(△0.23%)の減額
- 行政職 課長級までの職員
50歳台 最大△0.5% 40歳台後半層 △0.4% 40歳台前半層 △0~0.3% 若年層 据え置き - 行政職 課長級より上の役職者
△0.5% - その他の職種
医療職等を除き、行政職に均衡した引き下げ
2.ボーナス(特別給)
現行(当時)3.95月 → 改定見送り
理由:東北3県を除いた民間の支給割合は3.99月。
東北3県は調査できていないが厳しいことが予想されるため、据え置きが妥当。
3.勧告後の給与改定
「公布日の属する月の翌月の初日から実施」とあります。
つまり、国家公務員なら給与改正の法律、地方公務員なら条例が公布された翌月の給与から額が改定という意味です。
なので、引き下げられた月額は、公布日から未来に向かって、適用されます。
そうですね。
なので、年間給与でみた差額を調整するための処置をします。
4月から実施日の属する月の前月までの月給と、6月のボーナスにおける較差相当分は、12月の期末手当で減額調整されます。
東日本大震災では人勧以外の方法で給与が下げられた
実は、東日本大震災の対応では、人事院勧告以外の方法で、公務員の給与を抑える措置が図られていました。
2012年に国家公務員給与は復興財源の関連法に基づいて2年間、特例として平均7.8%の減額が議員立法によって成立しています。
例えば、総務省の資料によると、行政職の月例給の減額率はこちらです。
- 本省課室長相当以上 △9.77%
- 本省課長補佐・係長相当 △7.77%
- 係員 △4.77%
その他、管理職手当は一律10%減、ボーナスも一律9.77%減額されていました。
コロナウィルス関連の対応はまだ明らかになっていませんが、過去の例として参考まで、お話をしました。
コロナで下がる?公務員給与決定の仕組まとめ
公務員給与決定の仕組みについてまとめました。
公務員の給与は人事院が査定
民間の賃金動向に合わせるために実施
人事院勧告は例年8月上旬に出る
東日本大震災の時の人事院勧告は平均△0.23%
東日本大震災復興措置のための立法では平均△7.8%
ツイッターの発信では伝えきれなかったことをまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
長文お付き合いくださり、ありがとうございます。