こんにちは。元公務員ワーママのきなこです。
今日は、時短取得経験のある元公務員のきなこが、公務員の育児短時間勤務制度の実態に関する疑問にお答えしていきますね!
民間企業でも定着し始めている育児短時間勤務、いわゆる時短の制度。
一日何時間まで休みが取れるんだろう?
男性も取得できるの?
何歳まで取得が可能なんだろう?
減額されると給与はどれくらい減るの?
取得して嫌がられることはない?
本当に短時間・残業0で帰宅できるの?
こういった実態はなかなか見えてこないと思います。
元時短勤務職員が皆さんの疑問を解消します。
目次
育児短時間勤務制度の概要(時間、年齢、給与)
それでは、公務員組織における育児短時間勤務制度の概要をお話しします。
正式には育児を理由に勤務時間を短くできる制度は、部分休業と育児短時間の2種類あり、
男女問わず、取得できます。
部分休業は一日2時間まで、育児短時間はそれ以上の短縮が可能ということが多いですが、組織によってまちまちなので、総称して育児短時間勤務とここでは呼びます。
結論から言うと、地方公務員は育休のように全公務員に共通の基準はありません。
条例で定められているので、各自治体によって、まちまちです。
(国家公務員は人事院規則で定められているので、統一されています)
肌感覚だと、地方公務員は下記が標準的です。
- 時間:一日で合計2時間休める(始業・終業合せて。30分単位)
- 年齢:小学校始期に達するまでの子
- 給与:時間数に応じて減額。
※ボーナスも同様に減額あり。
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実際に公立大学法人勤務時代、6月に減額された後の基本給はこちらです。
基本給225,500 → 171,440 約0.76倍!</p></div>
少し多いのは有給を取ったから。有給の日は減額されない。
ところが、私が過去所属していた組織では、こんな違いもありました。
国立大学法人 ※ 国家公務員に準ずる
→ 週20~25時間も選択可
(例:一日4時間×5日、一日8時間×3日、8・8・4時間×3日など)
公立大学法人
→ 小学校4年生始期に達するまでの子が取得可
通勤が遠い私には、非常にありがたかった・・・
育児短時間勤務は100%取得できるのか?周りの反応は?
次は、気になる育児短時間勤務の申請の実態についてお話しします。
私が知る限り、申請自体が拒否されるようなことは、まずありません。
そもそも、職員として決められた権利を行使するだけなので、公務員組織で「届け出を受理しない」ということは考えられません。
役職者の申請も認められていました。
男性職員も取得するのがそこまで珍しくない、というのは、夫が一般企業でワンオペ家庭の私にはうらやましい状況ではありました。
それでは、周りの反応はどうか、というと、これはまちまちです。
育休について下記の記事を書きましたが、産休・一年の育休取得で周りの反応が冷たい、とかいうことがあまり起こらないのとは対照的です。
反応が分かれる理由は、育休復帰者の100%が育児短時間勤務する訳ではないので、当たり前のこととして認識されていないため、と推測します。
H29「地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果」(総務省)の統計によると
育児休業取得者 46,207人
育児短時間勤務者
+部分休業取得者 17,365人
代替要員が配置されるかどうか、つまり穴埋めがされるかも反応が分かれる要因です。
先ほどの総務省の統計をまた見てみましょう。
「⑥特段の措置なし」を見ても、現場の負担が増えたかどうかを表していないので、数字を分解して考えてみましょう。
まず、育児休業について、男性職員を考えましょう。
同じ総務省の統計によると、育休を取得する男性の8割(2,182人)は6月以下の期間しか取得していません。
一か月未満の休みなら、人を雇ったり、業務分担を変更しなくても、周りに長期的な負担はありません。
特段の措置がない男性職員は1,864人。
そのうち、6月以上の育休を取得する人もいるかもしれませんが、2000人程度なので、この1,864人は差し引いて考えることにしましょう。
次に育児短時間勤務について考えます。
②~⑤については、新たに職員を任用し、現場の負担減が図られています。
しかし、「①業務分担の変更」については、「新たに人を雇うのではなく、職員に仕事を割り振り直す」ということなので、他の人にとっては仕事が増える訳です。
なので、①+⑥特段の措置なし、が現場の負担増といえる状況です。
さて、上記踏まえると、現場の負担増となるケースは実質的にはこのようになります。
育児休業 14%(6,474人)
育児短時間勤務 51.3%(1,840人)
これはどこに勤めていても避けがたい事だと思います。
人間関係が構築できているかどうかにも左右されるので、周りに感謝を忘れず、自分自身も仕事を効率的にすすめ、ベストを尽くすことが大事ですね!
育児短時間の定時通りに帰宅できるのか?残業は?
育児短時間勤務を申請して、時間通りに帰宅できるのか?という疑問もあると思います。
これは先ほどの統計を見れば、推測ができると思います。
45.7%は業務分担の変更もなく、代替要員が来ません。
この場合は自分自身で効率化を図るか、残業を多少受け入れるか、周りに助けてもらうか、などの対応が必要になってきます。
正式に業務分担変更がなくとも、周りの正規職員で調整するなどの、配慮はあるケースが多いと思いますが、中には時折残業しなけれならないというケースも同僚から聞きました。
実際、配属されてみないと分からないことが多いですが、これから受験する人は可能な限り、実態を情報収集することをオススメします!
週3日短時間の勤務制度がある位なので、ごく短時間専門の人用の仕事が用意されていたり。
繰り返しになるけど、組織によって本当に違うので情報収集は大事だよ。
育休についての記事はこちら
育児短時間勤務制度以外の子の看護休暇など
この他、育児の際に活用できる休暇などの制度を列挙します。
- 一時間単位の有給休暇
ちょっとした遅刻や早退に便利 - 時差出勤制度
7:30-16:15、8:30-17:15、9:30-18:15…と複数の勤務時間帯が設定されており、標準の8:30-以外からも勤務時間帯が選べる制度きなこ夫婦公務員の場合、早出妻、遅出夫とすると、給与減額なく、保育園の送迎が夫婦でできちゃうメリットがあるね - フレックス制度
一定の期間についてあらかじめ定めた総労働時間の範囲内で、労働者が日々の始業・終業時刻、労働時間を自ら決めることができる制度きなこ月曜日は1時間残業しちゃった分、火曜日は1時間早く帰ろう、みたいなイメージかな。コアタイムという「必ず勤務しなければならない時間帯」を設けてるところが多いね。きなこの所属した組織でも導入してたところ、あります。あずき「子どもがぐずって保育園行かない、遅刻だ~」なんて時に有給取らなくてもいいのは便利だよね・・・ - 子の看護休暇 (一人につき、年5日)
- 家族の看護休暇 (一人につき、年5日)
※子の看護休暇とは別途、設けられているところもある - 配偶者の出産に伴う休暇
- 育児参加休暇
コロナの影響で在宅勤務を取り入れている自治体や組織もあるはずです。
通勤がない分、育児と向き合う余裕も生まれますので、賢く利用してみてください。
時短公務員の時の一日のスケジュールはこちら
育休の実態についての記事はこちら
これから公務員を目指すあなたに
ここまで見て分かる通り、公務員と一言で言っても、採用先によって用意されている制度は少し異なります。
採用先によって制度が異なることが多く、
一番ポイントになってくるのは、下記の三つです。
- 時短勤務の終期
- フレックス制度の有無
- 在宅勤務の有無
例えば、働き方改革で話題だった「寝屋川市」は、完全フレックス制度(コアタイムなし、AM8:00~PM8:00に出勤)を導入しました。
このように、人材確保に工夫をしている自治体も多いので、受験する前に確認することを強くオススメします。
社会人で全国的に受験できるところを探したい、
こんな風に思った方はいないでしょうか?
これは、社会人経験者が受験できる全国の自治体の一覧です。
こちらはクレアールという通信に特化した公務員試験の予備校が作っている無料の冊子です。
約50ページに渡り、公務員試験の仕組みや試験内容が解説されています。
公務員になるための方法が網羅されており、社会人にもまた学生にとっても、公務員試験の全体像をつかむ上で、とても優れた冊子です。
例えば、第三章ではこのような内容がまとめられています。
試験内容 / 出題例 / 新形式の試験 / 論文試験テーマ
面接試験質問例 / 集団討論課題例 /
Q&Aでは、「今まで関わりのなかった自治体を受験しても採用されますか?」という、突っ込んだ内容についても取り上げられています。
数量限定の配布となっているため、配布が終わってしまう前に入手してください。
元育児短時間勤務公務員の実態まとめ
公務員の育児短時間勤務の実態についてお話してきました。
公務員組織の一般的な育児短時間勤務制度
- 時間:一日で合計2時間休める(始業・終業合せて。30分単位)
- 年齢:小学校始期に達するまでの子
- 給与:時間数に応じて減額
※ボーナスも同様に減額あり
公務員組織によって制度はまちまちなので、要注意
- 時間:週20~25時間(一日4時間勤務×5日など)
- 年齢:小学校始期に達するまでの子
育児短時間の申請(男性や役職者も!)は通るが、周りの反応はまちまち
- 63%が育児短時間制度を利用しないため
- 51.3%が周りの業務負担が増えたり、代替要員が来ないため
育児短時間でも時折、残業しなければならないことはある
これも公務員組織によって、特徴が違うので要注意
育児と仕事の両立は、周りとの信頼関係構築が最重要!
育児短時間以外にも色々な制度が充実している公務員です。
公務員夫妻が共に時短を取得するなど、民間企業ではまだ浸透していない先進的なケースが見かけられたりします。
しかし、やはり、制度があったとしても、民間企業と同じで、周りの人とうまくやっていくことは重要です。
きなこも周りの人と気持ちよく働けるよう、こまめにお礼を言ったり、できることは面倒なことでも率先して手伝ったりするよう心がけていました。
これから復帰するあなたも、これからワーママ転職目指すあなたも、時短取得しようという旦那さまのあなたも・・・ぜひ参考にしてくださいね。
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。