こんにちは。元ワーママ公務員のきなこです。
大学職員って英語ができると有利なの?
国立大学で約10年勤め、英語を使った業務も経験していた元公務員のきなこが疑問にお答えします。
主な経歴:
- 国立大学等法人事務職員
(入庁当時は国家公務員2種)教務学生担当、国際交流担当など
- 国立大学等法人研究員
国際労務担当 - 公立大学法人事務職員
主な英語の資格:
- 英語検定準1級
- TOEIC985点
- IELTS Overall7.0
Listening8.5 Reading 6.5 Writing 6.0 Speaking 6.5
きなこ自身が英語を生かして仕事をしていた日々など
詳しいプロフィールへ
目次
面接に役立つ!大学職員に英語が必要な3つの理由
大学職員に英語が必要な背景には大学のグローバル化があります。
文部科学省主導で、グローバル化を進める政策が各種策定され、実施されてきました。
2008年
「留学生30万人計画」外国人留学生(14万人)を2倍以上の30万人にする
2009年
「国際化拠点整備事業(通称G30)」能力の高い留学生を日本に集め、外国人留学生と日本人学生が切磋琢磨する環境を、日本国内に設ける取り組みを行う大学を支援
2013年
「トビタテ!留学JAPAN」日本人の海外留学を倍増させる(大学生の海外留学6万人→12万人)留学促進キャンペーン。
返済不要の奨学金や事前事後研修等の支援を行う。
2014年
「スーパーグローバル大学創成支援事業」
高等教育の国際競争力の向上とグローバル人材の育成国際化を進める大学を支援。
(37大学が採択された)
このように高等教育がグローバル化を進める要因は、主に3つあります。
少子化対策としてのグローバル化
「大学の2018年問題」という言葉を聞いたことがありますか?
2018年を目途に18歳の人口が減少期に入りました。
18歳人口の減少 = 学生数の減少
=> 大学経営の危機
ということです。
18歳人口以外の入学者数を確保し、大学経営の危機を回避するために、「留学生獲得」を大学が目指していることが第一のグローバル化の要因です。
これまでも少子化により、18歳人口が減る時期はありましたが、進学率の向上により、大学への進学者数増加によってカバーされてきました。
しかし、2018年で進学率も頭打ちになり、大学進学者数の減少が予測されていたので、各大学にとって課題となっていたのです。
具体的な数字を表で見てみましょう。
「進学率」は大学・短期大学の数字です。
「進学者概数」は「18歳人口×進学率」です。
実際の進学者は19歳など浪人生も含まれるので、異なります。
※1000以下四捨五入の概数
年 | 18歳人口 |
進学率 |
進学者 |
|
66年 | 249万 | 11.8% | 29万 | 18歳人口 ピーク |
92年 | 204万 | 26.4% | 54万 | 18歳人口 また減少 |
09年 | 121万 | 50.2% | 61万 | |
14年 | 122万 | 49.9% | 61万 |
<出典>
文部統計要覧昭和31~41,42~平成13年版
学校基本調査報告書昭和40年版
文部科学統計要覧平成14~25年版
18歳人口は2018年度時点で約117万人。
平成30年度学校基本調査によると、大学・短期大学に専門学校なども加えた高等教育機関への進学率がすでに81.5%。
これ以上、進学率が大幅に伸びないことが分かります。
このような予測があったにも関わらず、大学の数は増え続けていました。
すでに私立大学の5割近くが定員割れを起こしている状況なのです。
大学の置かれている状況は年々厳しくなっており、外国人留学生の獲得に力を入れなければならないのです。
産業界との連携によるグローバル化
企業においても、当然のことながら、グローバル化が進んでいます。
海外に支社を置く企業、取引先や顧客が海外にある企業は大企業に限らず、増え続けています。
また、少子高齢化の波で、日本全体が人材不足に陥っています。
厚生労働省の発表によると、令和元年度の外国人労働者は過去最高を更新し、約166万人。
日本国内においても、グローバル化が進んでいるのです。
産業界に人材を輩出する役割も担っている大学は、国際化に対応した人材を育てる義務があります。
このような流れを受け、英語力を向上させるカリキュラムを充実させたり、国内に優秀な留学生を呼び込んだり、日本人学生の海外留学を促進させる政策が行われているのです。
教育・研究のグローバル化
グローバル化は産業界だけのものではありません。
教育・研究においても、グローバル化は日々、進んでいます。
国の枠を越えて世界中の研究者と共同研究を行う件数が増えています。
しかし、複数の国の研究機関に所属する研究者が一緒に執筆する「国際共著」による
論文の数が急激に増えているのですが、主要国と比較すると日本の数は少ない状況です。
この結果、トップ10%論文における日本のシェアは2003年5.7%だったのが、2013年には3.3%にまで低下しています。
危機感を抱いている文部科学省は、国際的に活躍する研究者の養成のために、
学生の段階から留学生と交流したり、
海外留学を促進する政策を実施したり、
国際的な研究を促す活動をしているのです。
大学職員は英語力があると有利!TOEICのススメ
大学職員に英語力(TOEICの点数)は有利か?
グローバル化が進められた結果、当然のことながら、大学の事業において、英語が必要になる機会も分野も広がっています。
大学で英語が必要な場面は、「留学生対応」が頭に浮かぶと思いますが、それだけではなくなっているのです。
例えば、G30の政策で「英語のみで学位が取得できるコース」が設置された大学もある、と言いました。
その場合は「教員の採用に英語力が必要になる」ということが想像できますよね?
従って、大学職員として採用されたい場合、「英語力」は100%有利になると断言できます。
なぜTOEICなのか?
大学職員の採用試験受験申込書に「英語、その他の外国語能力」を書く欄が設けられていることも多いです。
記入する資格として準備するとしたら、一番のオススメはTOEICです。
理由は他の英検やTOEFL、IELTSなどと違い、スピーキングやライティングの対策が不要な試験だからです。
リスニングとリーディングは自習で十分可能ですから、お金もかかりにくく、対策がしやすいです。
そして、効果も出やすいです。
また、受験料も下記の通り。
TOEIC L&R | 6,490円 |
IELTS |
25,380円 |
TOEFL iBT | 235USD |
英検準1級 ※級により、受験料が異なる |
8,400円 |
目指すべきTOEICの点数は?
私が新卒で、国立大学の就職活動していた時代は600点程度で記入しました。
600点程度ある人は、志望動機の一部として「英語を使った業務にも興味がある」と、まぜこむとよいでしょう。
730点以上の点数があると、さらに実務に即戦力があると見なされます。
また、「TOEIC○○点以上限定」枠の採用試験を設けている大学もあります。
国立大学法人等職員の場合、大学独自で設けている独自採用試験になりますので、各大学のウェブサイトを確認してください。
様々な採用形態についてはこちらの記事
期間限定!TOEIC800点突破のための動画講座を無料視聴
英語も大学職員試験も一緒に一気に飛躍させたい。
まずはTOEICのコツから知りたいなと思ったあなたに。
管理人きなこが運営するメルマガでは、
今、TOEIC800点を突破するための
3STEPメソッド動画講座を無料で
期間限定で公開しています。
きなこのTOEICプログラムでは
1期生平均121点、全員80点以上アップの実績を出しています^^
ぜひ、無料でTOEICで点数を上げるコツをつかんでみてください。
スクール公式サイトはこちら
大学における英語の業務の実例(国立大学の例)
ここでは、大学での英語を使った業務の一例を紹介します。
私が国立大学で見聞きした例なので、「国立大学の例」と書きましたが、公立大学や私立大学にもある程度当てはまるはずです。
部署によっては、日常的に英語がなければ務まらない部署もありますので、英語を生かした仕事を探している人にとっては、魅力的な内容です。
○○担当と便宜上、分けましたが、大学によって、担当部署は様々です。
あくまで目安の一つとしてください。
国際担当
- 海外表敬訪問
海外からのお客様に対応する仕事です。
海外から「大学を訪問したい」という連絡があった場合に、そのやり取りをしたり、ロジ(宿泊・航空券)を手配したり、訪問当日の対応をします。
お客様は大学の学長はもちろんのこと、「○○省大臣」クラスや場合によっては「○○国の王女」ということもあります。
きなこ当日のスピーチ原稿を翻訳専門の部署が作成するということもありました。 - 海外大学の提携
海外の大学との提携に関する仕事です。
提携の打診がメールで届いた場合、メールのやり取りで英語を使ったり、提携がまとまった場合は、交流締結の書面を作成したりします。
- 国際会議
国際会議を開催する際の仕事です。
招待客のロジ手配や、通訳者の手配、会議当日の対応があります。
大学によっては、国をまたいだ複数大学間のコンソーシアム(共同事業)に加入していることもあります。
その場合は、コンソーシアムの事務局関連の仕事や、オンライン会議の対応もあります。
- 海外事務所
大学が海外事務所を持っている場合の仕事です。
経理系:資金管理をするために、英文の伝票や帳簿の確認
人事系:海外事務所に勤める人たちの管理、ルール策定
法務系:海外事務所が賃貸契約などを締結する際の契約書確認
きなこきなこは人事系・法務系の仕事をやってました。事務所で雇用する事務員の英語面接にオンラインで立ち会ったこともあります。
留学生担当
留学生の各種対応です。
奨学金に始まり、履修登録の相談など日本人学生に行うのと同じ、様々な対応を英語で行います。
精神面での相談は専門カウンセラーへ、学修上の相談や就職の相談は担当教官へつなぐことになるので、橋渡し的な役割が事務職に求められます。
研究担当
- 国際的な共同研究事業推進
共同研究事業の推進には下記のような事務があります。
英語のメールでやり取りをしたりします。・研究費の獲得支援
・資金配分機関との契約
・経費管理、報告
・教員と国等の機関・企業との橋渡し的な役割研究成果を国内外に発信するという業務もあります。
- 知的財産権
大学で保有している知的財産権の管理事務です。
知的財産権の中でも、業務の大半を占めるのが特許の管理です。教員からの発明届を元に、国内・外国での権利化を目指します。
海外での特許取得の場合は、学内の教員や共同出願人、特許事務所との連絡を英語で行うが必要があります。
人事担当
外国人教員採用で、相手が英語しか話せない場合には、人事手続きの説明や社会保険・給与関係の説明を英語で行う必要があります。
雇用契約書は、英文のひな型が予め用意されているので、一から作る必要はありませんが、ある程度内容を理解できる英文読解力は必要です。
採用面接は教員の場合、「大学教授」が行いますので、事務方が行うことはありません。
英語能力のある日本人人材を採用する場合には、面接の一部で英語面接を行うことも考えられます。
海外研修制度・出向制度
あまり知られていませんが、国立大学法人等職員にはアメリカで語学学校研修と、現地の大学で働くことができる研修制度があります。
一年間、東京の文部科学省に出向し、国際関係の部署で働いた後、一年間をアメリカで過ごすことになります。
毎年10名程度が研修に参加しています。
また、JSPS(日本学術振興会)の海外研究連絡センターに出向し、一年間働くという制度もあります。
狭き門ではありますが、海外で研修を受けられる制度が国立大学職員には用意されているのです。
大学職員の試験対策
国立大学や公立大学の職員を目指す場合は、公務員試験とほぼ同じ形式の筆記試験を突破する必要があります。
公務員試験は専門試験と教養試験に分かれています。
国立大の職員は「教養試験のみ」の試験形態です。
(公立大は自治体によって異なるケースがありますが、教養試験のみのケースが多いでしょう)
公務員試験の教養試験には下記の科目全てが含まれています。
- 国語(現代文・古典)
- 英語
- 数学
- 化学、生物、地学、物理
- 世界史、日本史、地理、文学思想・芸術(←いわば、倫理)
- 政治、経済、法律、社会(←いわば、政経)
幅広い内容が問われますので、独学よりも予備校や通信での対策がオススメです。
コロナウィルスによる景気の悪化で、公務員系の人気が高まることが予想されます。
例えば、昨今は5倍程度で推移している国家公務員一般職の倍率ですが、リーマンショックの翌
年は11.8倍でした。
試験突破の難易度はライバルによって大きく変動します。
試験対策は万全に整えることをオススメします。
公務員試験で教養試験のみの試験種対策にオススメの予備校は下記の記事でまとめていますので、参考にしてください。
独学をしたい人はこちらの2つの記事をご参考に
大学職員は英語力で採用率アップのまとめ
「大学職員は英語力で採用率アップ」についてまとめました。
大学職員に英語が必要な3つの理由
-
少子化対策としてのグローバル化
-
産業界との連携によるグローバル化
-
教育・研究のグローバル化
大学職員は英語力があると有利!
TOEICの点数を積極的に記入していこう
→ 当ブログのTOEIC対策記事を参考に
大学における英語の業務の実例
国際担当
- 海外表敬訪問
- 海外大学の提携
- 国際会議
- 海外事務所
留学生担当
研究担当
- 国際的な共同研究事業推進
- 知的財産権
人事担当
英語力で採用の可否が分かれます。
当ブログでは英語学習の方法、たくさん紹介していますので、ぜひ参考にしてください。