こんにちは。
元ワーママ公務員のきなこです!
就活って大学名で足切りされるっていうよね・・・
でも、公務員の場合は学歴関係ないって聞いたけど
本当のところどうなのかな。
国立大学卒が有利とかも聞いたことあるし・・・
お答えしましょう。
公務員になるために
「大学名や学校名は全く関係ありません」
また、公務員になってからの賃金格差は
「民間企業より公務員の方が格差が小さい」です
じゃあ、国立大学が有利、というのは、嘘になるのか?
これはまた別の視点の話になります。
本日は、3回公務員試験に合格した元公務員である私が「公務員と学歴の関係」について徹底解説します。
なお、管理人のきなこは
国家公務員1種(国家公務員総合職)の一次合格含め
3回公務員試験に合格した経験があり
再現性の高いノウハウを持ち合わせています!
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目次
公務員試験の仕組みと学歴
「公務員」と一口に言っても、様々な職種や試験種が存在します。
ここでは事務系を対象にしますが、それでも試験種によって「学歴」の取り扱いは異なります。
少し複雑なため、まずは公務員の試験種について確認します。
公務員試験の仕組みと学歴
公務員は、国家公務員と地方公務員があります。
国家公務員の仕事は主に三つに分かれており、試験種はそれぞれ下記のようなイメージになります。
❶総合職
院卒、大卒
❷一般職
大卒、高卒
❸専門職
試験種によって、高卒/大卒がある
地方公務員は行政事務職員の他に学校事務、図書館司書などが事務系職員として挙げられます。
都道府県・市町村ごとに試験を受けることになります。
学歴によって受験する試験が異なりますが、
・初級 高卒程度
・上級 大卒程度
という分け方があるのが一般的です。
この場合、大卒者でも30歳未満なら「高卒程度」の枠で受験が可能です。
また、「大卒程度」、「高卒程度」の筆記試験内容であっても、「学歴が要件となっていない自治体」もあったりします。
この場合、年齢など他の要件も満たしていれば、高卒の方が大卒程度の試験を受験することは可能です。
この時点で、混乱してきてしまったあなたは、無料の公務員試験のガイド入手がオススメです。
上記の冊子はクレアールという公務員予備校が発行している無料の冊子の一部です。
社会人向けとありますが、「経験者採用」以外の、試験概要や出題例は学生と共通しているので、学生の方でも役立つ内容になっています。
約50ページに渡り、公務員試験の仕組みや試験内容が解説されています。
例えば、第一章ではこのような内容がまとめられています。
仕事の種類 / 受験資格 / 区分 / 職種 / 試験スケジュール
数量限定の配布となっているため、配布が終わってしまう前に入手してください。
民間企業VS公務員❶採用に学歴は関係ないか?
さて、それでは、民間企業と公務員において、学歴に関する扱いはどのように違うのでしょうか?
学歴には、一般的に二つの意味があります。
❶「高校卒・短大卒・大学卒」など卒業した学校種の違い
❷「学校名・大学名」による偏差値や知名度の違い
ここでは、二つに分けて、説明します。
民間企業での就活と学歴
学校種の違い
大企業において、高卒は大卒に比べて幹部候補になりにくいという格差があります。
高卒と大卒の新卒就職はエントリーが分かれています。
この際、幹部候補などの職種は高卒に門戸が開かれていないケースがあります。
中小企業では学歴不問の会社も多くあるので、高卒の人が幹部候補に全くエントリーできないということはありません。
しかし、特に、大企業においては、高卒から幹部候補を目指すのは難しい傾向にまだあります。
学校名・大学名の違い
民間企業での就活における学校名の扱いは、こちらのツイートが非常に参考になります。
結論から言うと、「民間企業において、学歴フィルターはあります」
「学歴なんて関係ない!」とTwitterで発信されているのを鵜呑みにすると痛い目にあう。特に大手の新卒採用の時は、学歴めちゃくちゃ重視される。僕の時も内定式で初めて分かったのは、MARCHや関関同立以上で早慶多めということ。あの内定者リスト見たら、「学歴で足切りしてたな」と誰でもわかった。
— もりぞー@英語で開くキャリア (@englishinform) September 9, 2020
もりぞーさんは、Twitter1万人を超える人がフォローしている人気アカウントで、ビジネスと英語学習について発信しています。
大手商社にもりぞーさんが新卒で入社した時のツイートは700を超えるいいねがつく、大反響がありました。
ツイートのコメント欄から分かる通り、特に大企業の場合は、エントリーする人数が多すぎて、「全部見ているとキリがないから、学歴(大学名)で足切りをせざるを得ない」という実情があります。
つまり、企業によっては、書類選考の段階で、学校名・大学名による足切りがある、ということになります。
(もりぞーさんの運営するEnglish Infoでは、きなこのインタビュー記事も掲載していただきました。)
公務員試験での学歴
学校種の違い
幹部候補になれるかどうかは、試験種によって異なります。
国家公務員は高卒では幹部になれませんが、地方公務員では可能性が平等にあります。
■国家公務員の事務系職種
総合職が「幹部候補」ですが、高卒者は冒頭で説明した通り、高卒程度の試験がありませんので、総合職を受験できません。
しかし、一般職は大卒程度、高卒程度の試験種に分かれています。
この場合、初任給は異なりますが、昇進できる限度に大卒と高卒で違いはありません。
幹部への道が開かれているか否かで、高卒と大卒に大きな格差があるように見えるかもしれません。
実際のところ、大卒者の多数は一般職です。
平成29年度の採用予定者数を見てみましょう。
※人事院の発表を元に掲載
総合職(大卒・院卒) | 658名 |
一般職(大卒) | 2,203名 |
一般職(高卒) | 1,084名 |
※一般職(大卒)は事務系の数字
総合職はいわゆる「キャリア官僚」です。
こちらを特に志す人でなければ、大卒・高卒の格差が特に大きい職業ではありません。
後に続く、昇進の項目で詳しく説明します。
■地方公務員
国とは異なり、「幹部要員」として試験種を分けてはいません。
(人事院平成24年度国家公務員制度改革の動向記述参照)
高卒、大卒で異なる試験区分はありますが、昇進の限度が異なる訳ではありません。
ただし、昇進にあたって筆記試験に合格しなければならない制度がある自治体もあります。
この場合、筆記試験が得意な「大卒者」の方が有利に働く可能性はあります。
学校名・大学名の違い
公務員試験ではエントリーシートの段階で「学歴(大学名・学校名)フィルター」にかけられることは100%あり得ません。
多くの公務員試験において、一次が筆記試験、二次以降は面接や論文試験があります。
しかし、民間企業と違って、「書類選考」はないので、学校名で、跳ねられてしまうということは起こりません。
ただし、筆記試験は「有名大学卒の方が得意」だったり、
「受験で多くの科目を勉強した経験がある」国立大学卒業生が有利に働くという可能性はあります。
民間企業VS公務員❷給与に学歴は関係ないか?
公務員と民間企業の給与と学歴について、❶初任給、❷昇給を比較してみましょう。
給与に関しては、
地方自治体の賃金構造という論文で
「学歴間賃金格差の最も小さい業種は公務である」
と明記されています。
ここでは、実際の数字を見ていくことにしましょう。
初任給
国家公務員 (一般職) |
民間企業 | |
大学卒 | 18万2,200円 | 20万6,700円 |
高校卒 | 15万600円 | 16万5,100円 |
※民間企業は平成30年賃金構造基本統計調査より
※国家公務員は2020年度の募集要項及び人事院のサイトより
なお、基本給に加え、各種手当が加算される
例えば、一般職の大卒(本府省配属)は22万5,840円
昇給
学歴別の平均月給は下記の通りです。
初任給からの昇給を推測する、一つの指標になります。
正確な検証ではありませんが、結論としては、大卒と高卒の昇給格差は総じてこれ位という一つのイメージです。
公務員 :月4万円位
民間企業:月9万円位
国家公務員 (行政職) |
民間企業 | |
大学卒 | 40万3,805円 | 33万3,750円 |
高校卒 | 42万3,229円 | 24万3,000円 |
※民間企業は男性の数字を取った。また、年収ベースだったので
12で割って平均月給とみなした。
※国家公務員は平成30年度国家公務員給与等実態調査の結果
大卒者に比べて、高卒者の方が44歳以上の年齢層の人数の割合が多いためです。
単純に数字は比較しづらいですが、民間企業ほど高卒と大卒の平均月給に大きな差が生じていないことは想像できます。
国家公務員行政職の56歳以上60歳未満の平均月給は
高卒者:約49.7万円
大卒者:約53.3万円
従って、民間企業に比べれば、公務員は学歴による昇給格差が少ないと言えるでしょう。
昇進
昇進と昇給は同時に伴うことが多いので、昇給についての分析を当てはめればよいでしょう。
ここでは、実際、私が文部科学省の出先機関(国立大学)で見てきた例を話します。
公務員組織の在り方を考える上で参考にしてください。
国立大学法人等職員は現在、「準公務員」ですが、元々は「国家公務員」でした。
なので、組織は公務員時代のやり方で運営されている部分が大きいです。
また、国立大学の職員は文部科学省に出向しますし、出向後、文部科学省の職員に転籍するケースもあります。
そして、役職者は文部科学省からの出向者が多く占められます。
このような状況を踏まえて、お話しします。
国立大学特有の事情や私の主観も含まれていること、お気を付けください。
また、本府省での事情は含まれていません。
■ノンキャリ(国家一般職)
地方出先採用の場合
※国立大学等法人職員はココ
- 大学課長級まで出世するのはトップ層
- 係長級で定年も珍しくない
30代後半から40代で係長級が平均 - 主任止まりで定年の人も中にはいる
- 高卒の女性課長もいたので、実力主義
ただし、氷河期以降、有名大卒や高学歴職員が
増えたので、今後は昇進競争はシビアになるはず
■ノンキャリ(国家一般職)
本府省採用の場合
- 40代半ばで大学課長級が平均的だが
本府省でなく、地方大学を転々とするケースもある - 高卒の部長級もいたので実力主義といえる
ただし、完全実力主義ではない。
昇進は、「出先採用 < 本府省採用」出先採用の課長の方が本府省採用より優秀
というケースもあるが、この壁は厚い
■キャリア(国家総合職)
- 20代後半で係長
- 30代後半で大学課長級
- 40代前半で大学部長級
- 国費留学で2年間海外の一流大学院に
入学できる制度がある - 海外の出向や大使館や総領事館、
政府代表部での勤務例もある
私は学生時代、国家公務員一種の一次試験に合格していました。
公務員として勤務し、その現実を見て、「一次突破できる学力があったなら、キャリアを目指してもよかったな」と思いました。
キャリアは、ノンキャリと比較し、築ける人脈のレベルや携われる仕事内容が全く異なります。
特に中央省庁と出先では歴然としています。
また、キャリア官僚は国内外で活躍ができ、研修制度も手厚いです。
人脈と見識、専門的な経験があれば、転職が難しいと言われがちな公務員でも、コンサルなどへの転職が可能です。
定年退職後に、大学教授として活躍したり、など幅広い活躍も可能です。
事実、一緒に仕事をしていた海外経験豊富な元キャリア官僚の上司は、定年後も見識を生かし、生き生きと海外出張へ飛び、大学で授業も担当していました。
※上司は修士号を持っていました。
学士号では厳しいかもしれません。
公務員の中では「ネームバリュー」、「職務内容」、「人脈」という点で、公務員を辞める事態になっても柔軟なキャリアが歩める可能性が高いです。
公務員というキャリアを考える上で、一つの視点として参考にしてください。
公務員試験対策に役立つ記事
当ブログの公務員試験対策記事を、いくつかピックアップしてみましたので、ぜひ参考にしてください。
公務員試験独学
公務員試験全般
公務員試験予備校比較
公務員になるのに学歴は関係ない?のまとめ
以上、公務員になるのに学歴は関係ない?という疑問をまとめました。
公務員試験の仕組みと学歴
国家公務員
❶総合職
院卒、大卒
❷一般職
大卒、高卒
❸専門職
試験種によって、高卒/大卒がある
地方公務員:都道府県・市町村ごとに試験を受ける
一般的な分け方
・初級 高卒程度
・上級 大卒程度
ややこしいなと思った人は
クレアールの無料の公務員ハンドブック
民間企業VS公務員❶採用に学歴は関係ないか?
■学歴とは
❶「高校卒・短大卒・大学卒」など卒業した学校種の違い
❷「学校名・大学名」による偏差値や知名度の違い
■民間企業での就活と学歴
❶学校種の違い
大企業において、高卒は大卒に比べて幹部候補になりにくい傾向
❷学校名・大学名の違い
民間企業において、学歴フィルターはある
大企業の場合、特に書類選考の段階で
「全部見ているとキリがないから、
学歴(大学名)で足切りをせざるを得ない」
■公務員試験での学歴
❶学校種の違い
幹部候補になれるかどうかは、試験種によって異なる
■国家公務員の事務系職種
総合職が「幹部候補」
→ 高卒者は受験できない
一般職
→ 大卒程度、高卒程度受験可能
→ 昇進できる限度に違いはない
大卒者の多数は一般職
幹部候補になりたい人以外は「学歴格差」は
大きい問題ではない
平成29年度採用予定者数
総合職(大卒・院卒) | 658名 |
一般職(大卒) | 2,203名 |
一般職(高卒) | 1,084名 |
※一般職(大卒)は事務系の数字
■地方公務員
国とは異なり
「幹部要員」として試験種を分けていない
高卒、大卒で異なる試験区分
昇進の限度は変わらない
昇進にあたって筆記試験のある自治体は
筆記試験が得意な「大卒者」が有利になる可能性はある
❷学校名・大学名の違い
書類選考で「学歴(大学名・学校名)フィルター」に
かけられることはない
民間企業VS公務員❷給与に学歴は関係ないか?
学術論文で
学歴間賃金格差の最も小さい業種は公務である
■初任給
国家公務員 (一般職) |
民間企業 | |
大学卒 | 18万2,200円 | 20万6,700円 |
高校卒 | 15万600円 | 16万5,100円 |
※国家公務員は基本給に加え、各種手当が加算される
例えば、一般職の大卒(本府省配属)は22万5,840円
■昇給
一旦の結論は、
大卒と高卒の昇給格差は総じてこれ位
公務員 :月4万円位
民間企業:月9万円位
公務員は学歴による昇給格差が少ない
■昇進
文部科学省の出先機関(国立大学)の例
■ノンキャリ(国家一般職)
地方出先採用の場合
※国立大学等法人職員はココ
- 大学課長級まで出世するのはトップ層
- 係長級で定年も珍しくない
30代後半から40代で係長級が平均 - 主任止まりで定年の人も中にはいる
- 高卒の女性課長もいたので、実力主義
ただし、氷河期以降、有名大卒や高学歴職員が
増えたので、今後は昇進競争はシビアになるはず
■ノンキャリ(国家一般職)
本府省採用の場合
- 40代半ばで大学課長級が平均的だが
本府省でなく、地方大学を転々とするケースもある - 高卒の部長級もいたので実力主義といえる
ただし、完全実力主義ではない。
昇進は、「出先採用 < 本府省採用」出先採用の課長の方が本府省採用より優秀
というケースもあるが、この壁は厚い
■キャリア(国家総合職)
- 30代後半で大学課長級が平均的
- 40代前半で大学部長級
- 国費留学で海外の一流大学院に
入学できる制度がある - 海外の出向や大使館や総領事館、
政府代表部での勤務例もある
公務員の方が学歴偏重がありそうに思うかもしれませんが、民間企業より、フラットな面が強いことが分かったと思います。
本記事があなたの参考になれば幸いです。